[コメント] ア・フュー・グッドメン(1992/米)
キャスティングに興味があったのでいつか観ようと思っていた映画。
序盤はトム・クルーズの甘さがそのまんま発揮された、どうしようもないちゃらちゃらとしたムード。彼の容姿と役柄の甘っちょろさが見事にマッチしているんだなあ。これで2時間以上どう持たせるのだと不安にはなった。まあ、白い海軍のユニフォーム姿は凛々しくて格好良いのは確かなんだけど。制服姿といえばデミ・ムーアも忘れられん!あんな兵隊が実際にいるのだろうか。素晴らしい、うん。彼女の作品は余り観ていないから今度少し手をつけてみることにしよう(俺っていつもこんな方法で観る映画を選んでるな・・・)。それはさておきトム・クルーズも後半かなり頑張っているわけだが、上がいるのだ。
ジャック・ニコルソンだ。
彼こそこの作品の背骨である。
ベストキャスティングである。
彼がクライマックスまでに登場したのは前半の2シーンのみである。最初に出てきて、最後の辺りまで全く出演していないのだ。それにもかかわらず、常に彼の存在を意識させられつづけた。彼の存在感は消えも、弱りもせずずっと作品を貫くものが有った。「こんな上司がいたら嫌だな」という嫌悪感みたいなものを序盤の僅かなシーンで観客に植え付けているのだから凄い。ジャック・ニコルソンの出演作の中でも、かなりの適役ぶりではないだろうか。他の俳優では考えられない。
これが悪役というものだ。
彼が法廷に立たされる場面で意外に芯のある映画だということにようやく認識させられた。このようにたった一人だけでも、役者を極上の使い方をすることで作品を一段階も二段階も上に引っ張り揚げている。この映画はばりばり硬派で、生真面目なメッセージを損なわずに、且つハリウッド的に分りやすく伝えているといえる。深い意味でのキャスティングの勝利だと思う。
怖いのは、アメリカでさえこんな事実があるということ。こんなのが日常茶飯事のように起こっている国もたくさんあるんだろうな。
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