しかし、登場人物の心理が理解できないことなんて映画においてはなんの問題にもならないはずだ。少なくとも私にとっては。それにもかかわらずこの作品に居心地の悪さを感じてしまうのは、心理を推し量ることの困難な「行動」のみが提示されることによって起ち上がるハードボイルド性と、結局は「血」で繋がれた者たちの話に終始するというウェットさの不調和によると思われる。まあそれがダメってこともないんだけど。

ラスト、惨劇の現場をカメラが動き回るワンシーン・ワンショットは、驚きこそないものの、まあ妥当な選択だと云えるだろう。