[コメント] 素晴らしき哉、人生!(1946/米)
甘甘なウェルメイド・ストーリーで終わらせない、采配の妙。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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スチュアートが家族に八つ当たりするシーンが出色。家族の幸せな時間に突如流れる不穏な空気、妻や子供たちに走る緊張感。自己嫌悪しながらも自身を制御できないスチュアートの姿には、家族持ちの立場には身につまされるものを感じさせられるほどで、それ故彼のキャラクタに逆説的な人間味が植え付けられる。
たびたび繰り返される、スチュアートが階段の手すりに手をかけると天辺の飾り部品が外れる微笑ましい件りを、この八つ当たりシーンの中にも配するあたりが絶妙だ。外れた飾り部品を投げつけるのではないかとハラハラさせておきながら、そこは自重する。そのあたりに演出の心意気を感じる。
前半部からじっくり時間をかけて、夢と大志を抱きながら、思うに任せぬ人生に翻弄され、それでも前向きに生きてきた主人公の姿を丁寧になぞってきたからこそ、怒涛のクライマックスに感情が爆発するのであり、そのあたりのキャプラの映画勘の確かさにはやはり感心させられる。
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