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[コメント] 悪夢探偵(2006/日)

ぼ、ぼ、僕らは悪夢探偵団♪……これぞ江戸川乱歩の世界。
空イグアナ

松田龍平演じる主人公が近所の子供から人気があるというのも、明智小五郎のもとに集う少年たちを連想させるではないか。

子供の頃、江戸川乱歩の少年探偵団を何度も読んだ。妖怪奇な物語と、それを盛り上げる挿絵にわくわくした。(ちなみに私が読んでいたポプラ社の本は、背表紙に黄金仮面が、裏表紙にはトランシーバーを持った小林少年が描かれたもの)

怪しげな廃墟。夜の街を歩く怪人。

それは昭和の街だからこそ、出せた雰囲気なのだろう。まだまだ、お化けが身近にいた。今や科学が発達し、幽霊は居場所を失っている。正確には、今だってオカルトの世界は繁盛しているけど、登場する時代が違うと雰囲気もやはり違う。

眠らない街。水銀灯が寂しく照らすのと違い、夜を感じさせない明るい街、それをさらに飾るイルミネーション。今の世の中、ああいう雰囲気は出せないんだろうなと思っていた。

だが違っていた。現代には現代の恐怖があり、現代の怪人がいた。

自殺、という今の時代だからこそ盛り上がる恐怖。それを呼び起こす怪人ゼロ。

塚本晋也の映画を観るのは『鉄男2』以来で、劇場で見るのは初めてであるが、その映像に魅了された。

頭上を這う、高速道路。押し潰されそうな迫力。

巨大なビルに囲まれ、一人たたずむ、ちっぽけな自分。

都会を背景に、映像で書き綴られる虚無感。

こうした感動は、田舎に生まれ、ずっと田舎で育ってきた私が、就職して都会に引っ越して間もないときに見た、という個人的な事情にもよる。華やかで魅力を感じると同時に、建築物に圧倒され、人混みと騒音に眩暈を覚える、という体験を実生活の中でしていた。

あと、役者としては未熟とはいえ(「私の心を覗かないで!」の棒読みは酷かったなあ)hitomiが刑事役、というのはツボに来ました。似合ってますね。

続編が気になるなあ。

(評価:★5)

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