[コメント] バッテリー(2007/日)
苛立ちも葛藤も、すべて野球の中にある。こんな野球映画を待っていた。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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こんなドラマが作れるのか。子供たちが見事に野球しかしていないことに感動した。野球という枠組みの中で、これほどまでに生き生きと少年の葛藤を描き、信頼と成長を描いた野球映画はちょっと思い当たらない。
野球のルールでは、どれだけ球が速くてもキャッチャーが捕れなければ勝てない。孤高の天才ピッチャーは自分の全力投球を受け止めてくれる者の存在によって、自分が「ひとりじゃない」ことを知る。キャッチャーは捕れない球を受け続けることで「努力して勝ち取った信頼」の、その意味を知る。それぞれが「自分の野球とは何か」を真正面から見つめることで、自分自身の価値観を見出してゆく。まさしく『バッテリー』というタイトルに相応しい作品と思う。
子役を野球経験者で固めたのもよかった。野球のシーン、特に「しゃべるより投げろよ」という豪くんのセリフにリアリティを生んだのは彼の肉体から放たれる野球少年としての存在感に他ならない。この映画では、何よりそこで行われている「野球」がリアルなのだ。その意味でも、たいへん愛すべき野球映画だったように思う。クライマックスをたかだか練習試合に設定したことも、彼らの野球のその先には広い世界があることを示唆していて心地のよい余韻を残した。
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