[コメント] 今宵、フィッツジェラルド劇場で(2006/米)
なんという豊饒さ!あまりにシブいケヴィン・クライン登場による導入部から延々と連なる楽屋での無駄話。あれだけどーでもいい話ばかりなのに、それを眺めているだけで何ともいえず楽しい、という奇跡。
その無駄話が途切れることなくおもむろにスタートするステージ。ギャリソン・キーラーが何気ない調子で繰り出す名人芸。ストリープが!ライリーが!ハレルソンが!歌い奏でる旋律の心地よさ。
そして、この幸福感をもたらしているのは、”ノスタルジー”であることをやはり認めないわけにはいかない。かつて在ったもの、そして今はもう無いもの、それがここに現出されているのである。
滑らかに動きまわるカメラワークも、劇場という閉ざされた空間を親しみある場所へと変換する。謎めくブロンド美女”天使”の立ち居振る舞いにも魅了される。終盤、”首切り屋”の扱いにもうひと工夫あれば…というあたりがやや減点材料ではあるものの、久々に至福に浸らせてもらえた1時間40分であった。
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