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[コメント] ビタースイート Bitter Sweet(2004/日)

1時間でこれだけの人間関係を描けるなんてすごい。人と人の、繊細で、また歪んだ繋がりが秀逸だった。三角関係をちょっと違う視点で見ると、実は三角で収まらないくらい複雑なんだな。林由美香の主婦姿と、その圧倒的な存在感も見もの。
ナッシュ13

**ネタバレ注意**
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西田直子という人物は女流脚本家ながらピンク映画の分野で活躍している。DVD特典で収録されていたトークショーや対談を見ていると、現代のピンク映画は一言では語れない、非常に垣根の曖昧な分野になっているのだと実感した。セックスは自然の流れであり、作品において何をメインに描き出すのか、それこそクリエイターの意思によって様々。単に男性向けだったり、セックスだけを描いたり、それだけの時代ではないのだなということを学んだ(とはいえ、自分はまだピンク映画という分野をよく知りもしない。ただ、成人映画というだけで、見る人を選ばない「普通の日本映画」であることは確実なんじゃないだろうか)

人間関係が歪み続けたり、ちょっとした群像劇になっているところが、この映画を一口じゃ語れないところ。ラストも、まさに電車のよう。駆け抜けていくかのように終わりを迎える。“苦味”が口の中に広がる感覚を味わうことは出来た。

林由美香は相変わらず素敵だ。演技力は群を抜いているし、子持ちという役柄が嵌るのだから驚き。しかもこの人の場合、専門はアダルトビデオであり、AV女優である。なんというか、「生まれ持った才能」を感じるとしか…。急逝したという事実を含め、なんとも感慨深い演技でした。

ちなみに冒頭のレストランシーンではいまおかしんじ監督がお客役で出演していましたね。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ペペロンチーノ[*]

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