どれも些細な事が、とんでもない事故になったみたいなもんで…やりきれないです。

モロッコのオヤジは、狩りのためにライフルを購入する。商人に渡されたライフルは予想以上に大きく、撃てば周りの山々に強烈に響き渡る生々しい銃声。そんな恐ろしい武器を、躊躇なく子供兄弟に渡してしまう。 なんでそんな簡単に渡してしまうんだよ、まったく親の不注意だ。オヤジは堅実そうでいい父親なだけに腹が立つ。ホントしっかりしてよ！

そんなもんでアメリカ人夫婦はこの映画で一番災難である。撃たれ泣き叫ぶ妻、交通手段も乏しく、病院も無い、バスの人達からは非難をあびせられ、しかも逃げられてしまう。獣医の免許しかもっていない訳のわからぬおっさんに、妻の命を託す。妻の手を強くつなぎ、おでこにキスをすることしか出来ない旦那。

女子高生は、母親の死と、耳が悪いというハンディキャップをモロに受け止め、破滅的な行動にとるが、他の国での出来事があまりにもギャップがあり、感情的になれず「まだ若いんだから好きにいいんじゃないの」としか思わない。だが、改めて日本は平和な国なんだとあらためて思う。俺だって、急にオヤジに銃渡されて「狩りをしろ！」と言われたくないし、あーホント日本人でよかった。

メキシコ人家政婦。大変人柄も良く、嫌な顔せず子供の世話をしっかりこなし、ご主人の信頼もさぞかし厚いだろう。 しかし、子供をメキシコに連れていくこたぁ無いだろう。しかも往復あんなチンピラみたいな男に運転させるなんて…

しかし、あの子供２人は偉いなぁ。見知らぬ土地に連れていかれ、最初は戸惑いながらも周りの子供達と無邪気に遊んでいる。しかも大変楽しそうだ。よほど家政婦さんとの信頼関係が厚いのだろう、そう考えただけで可愛そうだ。

きっと実の両親と同じくらい家政婦さんと一緒に過ごしてきたハズだ。きっと警察からは誘拐がらみの事件として両親に報告されるだろう。もう二度と合う事も無く強制的に引きちぎられていく様は、なんとも言えなかった。

家政婦さんと分かれる間際、いままで泣くのを一生懸命我慢してた男の子が、ブワッと泣きじゃくる姿は強烈に残るシーンだった。