コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] こわれゆく世界の中で(2006/英=米)

壊れいく家庭。会話が無くなる過程が痛いほどに伝わる。誰にも言えない本音。男は誰かと話したくて、外を見る。女がいた。子供を持つ女。自分の立ち位置がわからない男に、愛をみつけることはできない。帰る場所がある。それは素晴らしいこと。。。
IN4MATION

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ジュードロウにはこういう役が多い。

彼の、笑顔が消えた表情の中に、どこか寂しげで物憂げな雰囲気を持っているからだろう。よく似合う。

-------------

僕にはスウェーデン生まれの彼女がいる。共に暮らしている。彼女には娘・ビーがいる。彼女の連れ子だ。自閉症。。。

そのせいか、彼女はビーに掛かりっきり。僕は2人の世界に入れずにただ傍観者となる他ない。

ビーが些細なことで暴れる。僕には理解ができない。いや、したくないのかもしれない。ビーは僕の娘ではないから。彼女はビーの事になると僕を遠ざける。迷惑をかけたくないと思っているのかもしれない。

僕は彼女の愛情を独占したくて、ビーに嫉妬する。

一方で、僕はピーに好かれるよう、努力してみる。ビーはそんな僕の気持ちを見抜くのか、なかなか懐かない。

ビーを介して、僕と彼女の距離が離れていく。会話がなくなる。お互いがお互いを理解することができなくなる。思っていることが伝わらない。わからない。

我慢が増える。飲み込む言葉が増えていく。

口を開くと口論になる。いつも溜め込んでいる不満がとめどなく溢れ出る。そしてお互いを傷つけ合う。

こんな生活を辞めたくなる。

そんな時に出会ったボスニア難民のイスラム系の女性。父親はボスニアで戦死したようだ。戦禍から亡命してイギリスにやってきた。息子がいる。不良だ。根はいい子らしい。

この家庭なら僕は必要とされるかもしれない。知らぬ間に僕は彼女を口説いていた。 だけど、僕は、この女性にも、家庭にも必要とされているわけじゃなかった。寧ろ、他人である僕が介入したせいで、彼女たちの安穏な生活を脅かしているようだ。。。

ここでもない、僕の居場所。さ迷う僕。

ビーが僕の監督下で怪我をした。僕は初めてビーを救わなければ、と思った。 話し合う時間が必要だ。そこは、僕の帰るべき場所。。。

愛は見えない。当たり前には伝わらない。ちゃんといつも本音で話し合わなきゃ。

放っておけばどんな建物も風化する。建築家の僕ならそんなこと、当たり前に知っているつもりだった。

一度壊れてしまった。その方が新たに立て直すことが可能なのかもしれない。 彼女とビーと僕の3人で。。。

------------

ジュードロウが好きだ。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)deenity[*] Keita[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。