[コメント] ベルズ・アー・リンギング(1960/米)
ジュディ・ホリデイは1921年生まれなので、30代後半での撮影。流石に薹が立っているが、しかし、プロットが進むにつれて、どんどん愛おしくなるし、登場の電話応対シーンなどでは天才的な上手さを見せる。また、ほんのチョイ役だが、冒頭のブラインドデートの相手はなんとジャズ・サックス・プレイヤーのジェリー・マリガンなのだ。お酒をかけられた後のリアクションなんかで、しっかりとしたコメディ演技を見せる。これには驚いた。あと、競馬のノミ屋でコメディパートを演じるエディ・フォイ・Jrが良いアクセントになっている。彼の声が聞こえると途端に『パジャマ・ゲーム』を思い出した。
ヴィンセント・ミネリの画面造型では、パーティ会場の外の公園でホリデイとディーン・マーティンが「Just in Time」を唄うが、このシーンが『バンド・ワゴン』の「Dancing in the dark」のシーンを少し彷彿とさせる(あんな見事なダンスはないが)。あるいは、「Mu Cha Cha」のシーンのダンスもフルショットがミネリらしい。また、「Just in Time」のシーン直前、2人へ寄って行くクレーン移動や、「The Midas Touch」というナンバーのシーン導入部にある移動撮影が目を引く。しかし、この「The Midas Touch」のナイトクラブのシーケンスは、かなり意味不明のぶっ飛んだシーンになっていて、この映画のポイントを上げている。そしてホリデイのラスト近くの「I’m Going Back」、これが一番気に入った。最後にちゃんとこんな格好いい楽曲を持ってくるあたりがヒットミュージカルらしい。
#DVDの特典映像には「The Midas Touch」の未公開テイクが収められているが、もしこれが本編に採用されていたら、どれだけ興奮しただろうと思うものだ。
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