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[コメント] 草原の輝き(1961/米)

ヤルだけの女/本命の女と、人間を“使い分ける”という発想の恐ろしさ。でもそれは自分の身近にも蔓延してるのだ。風俗に行く前にこのヒロインの姿を思い出して欲しい。
mize

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 ★4.5。今見ても全然古くない?いや、古くないどころか現在の恋愛映画でも描けないほど残酷に冷徹に、恋愛の恐ろしさをみせてくれる。破綻したときにそのカップルの問題点を説いても意味がない。一見うまくいってるときにこそ、よく目を凝らすべきなのだ。この映画の2人だって最初は理想のカップルに見えたのだから…。そう思えばなんとも皮肉な題。(以下、また熱くなってしまったので、ヒマな方だけどうぞ)

■映画の中の「恋に狂うヒロイン」はどうしても「ホラホラ、凄い演技でしょ!(だから賞ちょうだい!)」と女優が得意気にみえたり、監督の美意識としての「恋に狂うヒロイン」だったりして、どうもグッと来ない。もちろん感動したり迫真の演技に感心することもあるが、「おぼえのある感情」とはいえなかった。

 でもこのヒロインがお風呂で狂ったようにニヤニヤ笑って母親を怯えさせ、自分を裏切った彼氏に連絡されそうになるとガバッと「ダメ!それはダメよ!」と絶叫するシーンで、なぜかこの感情の動きが手にとるように判った(ちなみに浮気された事のあるような意見だが、9年以上の付き合いで一度もない。ないからこそ浮気を許容できず許せないのかもしれない)。

 恋愛に限らないが、彼女の狂っているシーンは「追い詰められ絶望した者の必死のSOS」だから経験したような気がするのかもしれない。捨て鉢になって自分を貶めてみたり、全然平気よと平然を装ってみたり、凶暴になって当たり散らしたり…すべて今の悪夢から助けだして欲しい一心でSOSを送っているのだ。

 ではその悪夢とは?戦争でも猟奇殺人でもなく、男の浮気だ。多分、浮気された女性は生きながら埋められたような気がするのではないだろうか。自分の用はもう終わった…もう用なし…まだ生きているのに。「ヤラせないなら役立たず(orもうお前より別の娘がいい)」の烙印を押されたとき初めて、同じように成長したつもりでも、いつの間にか男性に有用か無用か判定される側でしかない事に気づいて絶望するのではないだろうか。

 彼女を狂気に追いやったのは彼氏だけじゃない、彼女持ちと知りつつ平然と寝る女も共犯だ。しかし、そんな女も所詮ヤラせてくれる部分のみを男性に評価されたに過ぎないのだ。2人の女性はともに人間性を軽視されている。なのにお互い敵同士でもある。女性はつらいのだ。だから男性に生まれた以上は女々しく甘えた事を言わないで欲しい。

■理想的なカップルが偶然から破綻する話ではなく、このカップルは初めからダメだった。起こる事はすべて必然だと思うから。そんな中、ヒロインが狂死せずに穏やかな暮らしを手に入れられたのはまだ救いだった…が、ヒロインもあの彼氏も、とりかえしのつかない愚行の末に、もはや妥協という形でしか安寧を手に入れられなかったようだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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