[コメント] ヒロシマナガサキ(2007/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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ここでインタビューに答えた人なんかはみんなメディア慣れしていて、言葉もよどみがないが、写実描写が型どおりで逆に話は生々しさがあんまりないと言う不利があり。正直インタビューのみを考えてみれば、何も映画にする必要背は感じられず。これまで散々テレビ等で観てきたものに過ぎない。
ただし、本作の最大特徴は、視点にこそある。
戦争の悲惨さを語ることが出来るのは基本的に敗戦国の特権である。戦勝国はどれほど国内に悲惨なことがあろうとも、最終的に栄光をつかんでいるのだから、それらは“良い思い出”に過ぎない。戦争によって国内が荒れ果て、しかも最終的に占領されたと言う事実を経験しているからこそ、戦争を悲惨なものとして受け止めることが出来る。
それで本作の場合、監督は日系人とはいえ、カメラの視点がきちんとアメリカ視点になっているのが最大特徴。原爆によって起こされた悲惨さから目を背けることなく、冷静な見地からインタビューを行い、さらに原爆を実際に投下した本人のインタビューまでを「悪いことをした」とは決して言わせない。あらゆることをあるまま冷静に捕らえているのは評価すべき。アメリカではあんな半ば見世物のようなテレビ番組まであったとは初めて知ったし、アメリカにいるからこそ見えてくる視点というのもあり。アメリカで作られた作品の持つ意味を改めて考えさせさせてくれる。さすが戦後60年も経過し、その間に泥沼化した戦争を戦い続けていた事実は大きいと見える。
あと、映画ならでは。と言うのは描写の凄さがある。アメリカにとって原爆で焼けただれた人間の体は格好の研究対象だった訳だから、その治療(と言うより研究用)フィルムは多量に残されているらしく、テレビでは見せられぬ生々しい治療風景が次々と出てくる。下手なホラーよりも気持ち悪くなるようなのが多数登場してくる。確かに映画ならではだ。
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