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[コメント] 棚の隅(2006/日)

母親はトマトを食べない。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







それを前夫は覚えていた。だから我が子には嫌でも食べろという。

父親にも辛いことはあったろうが、乳児の息子を置いて逃げた母親を、彼は息子に乗り越えさせる。そして、二人の間に如何なる感情が甦ろうと、二度と会うことはすまいと言う。

これは責任を持った大人の物語だ。後妻も、母親の恋人も立派な大人だ。つまらぬ憶測もせず、二人が完全に別れる約束を交わす観覧車の一台を静かに見つめる。何事も起こらぬゆえにこの物語は悲しい。これを悲しめるのは大人だけだ。

500万円の制作費でも、人の心を揺るがすドラマは作れる。そんなことを証明してくれた映画だった。わが町・町田の隣の相模原市でロケし、わが母校の前にあった遊園地・多摩テックでクライマックスを撮影したために、感じた親近感もひとしおであった。

(評価:★4)

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