[コメント] 題名のない子守唄(2006/伊)
謎めいた演出で、全編に気が抜けないというか、ある種の緊張感が漂い、見るものをぐいぐいとひきつける力を持った映画には違いない。しかしそれにしても何と哀しい物語か。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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あまりに哀しく悲劇的な結末には言葉を失う。それだけに一見ハッピーエンド風のラストシーンにはどこか釈然としないものが残る。
何故なら、テアの母親はイレーナが現われたことのとばっちりで、いわば巻き添えとなって命を落とすことになったのに、大人になったテアが果たして笑顔でイレーナの出所を迎えに行けるだろうか?という素朴な疑問がわくからだ。
だからラストシーンによって本作がドラマとしてちょっと寓意的に過ぎるように思えてしまう。イレーナをめぐるドラマがあまりに哀し過ぎるが故に、寓話のように、言ってみればまるで幻想であるかのようなラストシーンをもってきたトルナトーレ監督の真意を疑うというか、何だか最後になって居心地が悪くなったような印象をもってしまう。
だが同時にひょっとしたら、大人になったテアはすべてを知り理解してもなお、あるいは理解したからこそ、イレーナの迎えに行ったのではないだろうか?せめてそうであってほしいと思わずにはいられない。
もし私がテアと同じような境遇になったとしたら、とても迎えにはいけないし笑顔もつくれないだろうけど、やっぱりイレーナを笑顔で迎えに行ける人間でありたいと思うのだ。それがこの映画の力ではないだろうか。
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