[コメント] キングダム 見えざる敵(2007/米)
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なぜかマイケル・マンの監督作と思い込んで劇場行ったら、監督はピーター・バーグ。御大はプロデュースなんですか?ピーター・バーグは冒頭のFBIのスタッフ会議で質問してたよね。頭うすっ。人の事言えんが・・。
監督としては手馴れたもんで一級の娯楽作品になってますね。しかし見た目にはまんまマイケル・マンぽいよ。手持ちのカメラとデジタルぽい粗めの色彩、細かいカットの繋ぎ、場面転換での夜景空撮とロッキッシュな音楽とか、もろにマイケル・マンなんですよ。
それでもマイケル・マン節たる所以の「プライドを賭けた野郎の熱い対決」がここではなんとも薄い。ジェイミー・フォックスには仲間を殺された大儀名分があるんですが、敵の正体がなかなか見えてこないので対決軸が燃え上がらないんでございます。
かといってサスペンスな要素はというと、終盤で正体が現れるものの特に黒幕とか陰謀とかもなく、突き詰めちゃうと悪のアラブテロリスト対正義のアメリカになっちゃう。最後の最後で問題提起はなされるけど、あれは辻褄合わせみたいなもんです。
比較するのは少々強引ですが、CIAがアラブ王室や多国籍企業と絡んで多層的な支配構造を見せる『シリアナ』なんかは、『キングダム』が最後で言った問題提起を、達観したような引いた目線で詩情さえ漂わせて見せてくれました。あれと比べるとアクションだけで終わっちゃった感じがします。
御大が監督なら絶対に2時間は越えてたと思うけど、110分ではいかにも短い。チーム4人のエピソードなんもないし。普通、誰かの弱点やら裏切りやらが過去のフラッシュバックと共に明らかになってストーリーが盛り上がるってもんですが、そんなヒマも無いんです。だいたい殺された仲間つっても過去の映像なんも出てこないので感情移入できません。
クルマの転倒シーンや銃撃戦ではドギモを抜かれましたが、師匠のマイケル・マンを超えるにはオリジナルな要素が足りませんぞ。御大リスペクトなので弟子には厳しく3点。
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