コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ブレイブ ワン(2007/米=豪)

ベトナム戦争後の『狼よさらば』。イラク戦争後の『ブレイブ ワン
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







映画館で映画を観始めてびっくりした。ニール・ジョーダンだよ、おい。そんなことどこにも書いてなかったぞ。いやまあ、映画を見る前に情報を仕入れない俺も悪いんだけどさ、それでも普通、監督名くらいは耳に入るじゃない。あ、ほら、今、手元に前売り券の半券あるけど、監督名書いてないもん。つーか、ジョディ・フォスターの名前しか書いてないよ。ひどい宣伝だなワーナー。「ジョディが銃ブッ放す」一本押しかよ。え?俺が何で観に行ったかって?「ジョディが銃ブッ放す」一本押しに釣られたんだよ。

そう考えると、アイルランド人ニール・ジョーダンらしい「正義論」が端々に見え隠れしているのに気付く。

例えばリスナーから寄せられる電話。「イラク戦争」の言葉が発せられる。 『マイケル・コリンズ』でIRAリーダーを描いたニール・ジョーダン。 闘争の歴史を抱えるアイリッシュが描いた本作は、「何が正義か」というテーマが根底にある。

しかしこの映画、設定はまるで『狼よさらば』。いつジョディが顎を撫でながら「ん〜マンダム」と言っても不思議はないくらいブロンソン映画。 両者の違いは男女差ばかりではない。“時代”の差があるように感じられる。

ベトナム戦争時代に作られた『狼よさらば』は“狂気”の物語だった。 イラク戦争時代に作られた本作は“正義”を巡る物語となっている。 これは、「映画は時代を写す鏡である」ことの端的な例であると同時に、「映画は時代も国境も超えない(by押井守)」端的な例でもある。今のアメリカの空気(それも外国人の目で見た)なのだ。 同じ設定の映画は今後いくらでも製作可能だろう。だが、十年後、二十年後には、また別のテーマが描かれるに違いない。

この映画のもう一つ重要なテーマは、製作総指揮も務めるジョディ・フォスターの“女性”としての視点。 もしかするとこの映画は、『告発の行方』の延長線上にあるのかもしれないとさえ思う。

余談

ニール・ジョーダン映画は彼自身が書く脚本に妙味があると思うんだけど、ハリウッドはニール・ジョーダンにほとんど脚本書かせないよね。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)トシ 夢ギドラ[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。