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[コメント] オリヲン座からの招待状(2007/日)

わかりきったドラマでも泣かせることはできる。
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







映画の良き時代を演出するのは、私のように昭和30年代生まれのものにとってかけがえのないものです。

この映画の中心になっている昭和30年代こそ、映画にとって最も激動の時代であり、映画がテレビへと変遷する、まさにその変化の時代なんですね。

このオリヲン座が全盛だった頃、まさに人は人と支えあい、銭湯と映画館が社交の場だったんですね。

私が生まれた東京の下町にも似たような風景がありました。

正月ともなると、大人に連れられて見にゆく映画が楽しみだった。

嫌、映画が楽しみだったのではなくて、映画館に行くのが楽しみだったんですね。

昭和30年代後半から映画は一気に斜陽の時代へ突入し、映画館はまさにこの映画に出てくるような状況になりました。この状況、実は今も続いていますね。平日の昼間に観客がいること自体、今もあり得ませんよね。

でも、まだまだテレビが各家庭に浸透する前は、主婦(こういう職業が当時あったんですね)高齢者、そして子供が平日から映画館に通っていたんです。

この映画のもうひとつの主人公は、そんな子供時代を体験した今の大人のストーリーですね。幼馴染の仲で結婚した夫婦が別れようと切り出す話の中でこの世界に遡ってゆくのです。

浅田次郎さんの原作としては、時代背景もいかにもそれらしい内容になっています。

ただ、素晴らしいセットとロケのバランスが失われていて、映画全体としてはあまり上質な内容とは言えません。

泣かせるだけなら小説で十分事足りますね。

2010/01/01(自宅)

(評価:★3)

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