[コメント] Little DJ 小さな恋の物語(2007/日)
今までここまであざとい泣かせ物を観たことがない。初々しい恋での泣かせ、難病での泣かせ、そして70年代ノスタルジーの泣かせが渾然一体となり、暴力的に観客の涙を搾り取るフランケンシュタインの怪物的作品と化してしまった。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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大体今、『ラストコンサート』の映画鑑賞シーンをもうけるとは、観客の年齢層をどう見積もっているのだろう。クイーン、シュガーベイブ、サディスティック・ミカ・バンドなんていう面子の曲がかかるところを見ると、30〜40代くらいか。そんなオッサンオバハンの(俺もだが)泣かせ道具に神木隆之介くんは使われているのだ。天才子役の名をほしいままにした彼も、声変わりし演技力のみで運命を左右される恐ろしい世界の崖っぷちに立たされている…という現実を知っていい頃だろう。
それにしてもこの幕の内弁当は、具のバリエーションが尋常ではない。子供部屋の子供達、神木が入れられた成人病棟の病人達、医師や看護士達。それら一人一人にドラマを語らせるものだから、物語が散漫になって仕方がない。サブタイトルにある「小さな恋」もさして盛り上がらずに終わった。むしろDJ話で徹底して盛り上げ、福田はその良き応援者になる、と言う展開にした方が話もスッキリしたろう。
ここに描かれているのは「愛」ではなく「恋」だ。少女が広末に成長するまで引きずるべき問題とは思えない。
実にミニマムな問題だが、神木が白血病で毛が抜けても、それを帽子で隠してこと足れりとしていたのは実に役者根性に欠ける事実だった。神木君、先人の魂を勉強してくれ。
ともあれ、この作品は韓流まがいの激甘ラブ・トラジディに過ぎなかった。神木君には仕事を選ぶ潔さがそろそろ必要になっていると言えよう。
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