ジグソウの跡つぎが再び現れて「次作に続く」ってなるのは最初から分かってはいたけれど、ジグソウ誕生エピソードがひどすぎた。

仮に『ジグソウ　ザ・ライジング』とか『ジグソウ・ゼロ』みたいな独立した映画を作ったとしたら、その商売魂にみんな呆れただろうけど、ここまで説得力のない誕生秘話を描かれては、前日談だけで一本作ってもいいから、もっとマトモな話を撮れと言いたくなる。基本的に本作の前日談は、あの前妻から見た、あるいは前妻の知っていたジグソウの姿しか映っていない。そのため、本来ならターニング・ポイントとなるべき部分（癌の告知後〜ジグソウ誕生）が、「彼は変った」の一言で片づけられてしまった。俺としては、一言で片づけられたその部分を、15分くらいかけて描いてほしかった。やる気あるのか、脚本家。

そんな薄っぺらいジグソウ誕生秘話ではジグソウの執念が作品世界に行き渡ることはなく、メインストーリーの舞台設定は今までよりさらに魅力がない。また、生理的に「痛そ〜」って思っちゃうような器具を前にして死のカウントダウンが始まり、理性や判断力を失う人間の姿を描かれるほうが、ストレートに残酷な場面を描くよりも心理的にエグイと思ってしまうものだ。でも、今回もやっぱりストレートな流血を優先させた感じで、そこに頼ってしまうあたりが余計に作品が迷走していくのを感じさせる。

いっそシリーズとして続けるのなら、ジェイソンみたいにジグソウを生き返らせたほうがよかったかもね。５では、あの跡つぎ出さなくていいから、サイボーグ化したジグソウとか、実はあの死体はジグソウの双子の弟だったって話にして、ジグソウ出してください。いや、もはや続編観るかどうか分かんないけど。