[コメント] この道は母へとつづく(2005/露)
梗概が予期させるような重苦しさはなく、真っ当な娯楽映画の結構。少年は己の知恵と他人の親切で二人組の追跡をかわし、ひたすら母のもとへ歩を進める。
取り立ててすばらしい演出は見当たらないが、ところどころのコメディ・タッチの演出はまずまずの冴え。ソクーロフ作品の撮影者として知られるアレクサンドル・ブーロフの画面は概ねよい。とりわけ霧のたちこめるショットなどは幻想性さえ漂って印象深い。主人公の少年コーリャ・スピリドノフは自分の愛くるしさをしっかりと弁えた達者な演技ぶりで感心させる。というか、とにかく可愛い。
登場するキャラクタはみな厚みを持った造型がなされているが、彼らはほとんど使い捨てのような形で次々と退場してゆく。贅沢と云えば贅沢。いいかげんと云えばいいかげん。
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