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[コメント] 28週後...(2007/英=スペイン)

途上のストーリー。
くたー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







※『28日後・・・』のネタバレあります。一応。『ゾンビ』のネタバレもあるかもしれません。

かすかに「あれ?」と思わせるような、微妙にイレギュラーに走る話の展開が面白かった。

前作では人と人とが困難に立ち向かい結びついて話を終えたはずなのに、本作ではしょっぱなからプッツリと人同士の絆を断ち切る。冒頭の10分そこいらで、しかも赤の他人ならいざ知らず、夫婦が、である。そしてこの、およそヒーローらしからぬ男が主人公なのかと思いきや、少しずつ焦点は移行し、ようやく話の焦点が男の子供を中心として固定されることが分かる。が、しかし、最後に希望を託した子供が、実は・・・という展開。さらには一回世界を再機能させてからさらに壊す、という展開も面白いと言えば面白い。確かに強引な展開も散見されるとは言え。

前作を観てから観た方が面白いということもあって、一本の映画としてはやや弱いのだろうか。いや、意外にもそのような印象はなかった。本当の始まりと終わりは本作の枠外に存在しているにも関わらず、それほど中途半端な気がしないのは、その途上のストーリーの中において、ゾンビ映画としてのキモをキッチリと押さえているからかと思われる。前作では「死」→「生」→「死」→「生」とパートが分かれて展開したものを、本作はあくまで蔓延する死の中に終始身を置きながら、わずかな生に必死に期待を寄せる姿を描いている。本来はこちらの方がゾンビ映画らしいと思うワケで。そして希望が託されるのは子供たち。これも本家ロメロゾンビの中の、(結局は画面に登場しないが)生まれてくる小さな命との符号を見出すことも可能だろう。というか、観終わった後にまずそのことを想起した。

ともあれ、ぶっちゃけてしまえば、ゾンビ映画に「結末」なんて必要ないんじゃないだろうか、とも思うワケで。逃げ場などは結局どこにもないけれど、それでも疾走し続ける姿そのものを描き出すからこそ、ゾンビ映画ならではの普遍的なテーマが生まれるではないだろうか。まああの取ってつけた感の強いラストはいかがなものかとも思うけど、生ぬるい決着をつけた前作よりも、むしろそこでは終わらせないという点では、この映画の方を評価したい。

つうか現代におけるゾンビ映画というのは、バイオハザードという意匠を介さなければ描くことができなくなりつつあるのだろうか。ということも興味深い。

(評価:★4)

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