[コメント] クローバーフィールド HAKAISHA(2008/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
確かに中盤の都市破壊のスペクタクル映像は凄い、とんでもない迫力があった。もはやハリウッドは日本特撮の20年先どころか遠く及ばない境地をいっている。
だが、問題は怪獣に魅力を感じられない。
例えばこれと比較的近い近年に作られたミストにでてくる霧とともにやってきた異次元怪獣たちはフィギュアを買いたくなるような出来だったし、それに相応しい個性もあった。例えば酸性の糸を吐く蜘蛛やワイバーンのような姿をした昆虫、そしてラストの巨大怪獣のようなバラエティあふれる怪獣たち。
さらに例えればこの映画が目指していたとされている初代ゴジラにおけるゴジラよ、口から熱線を出せば全ては破壊し、光に反応してテレビ党に噛み付き破壊するというバラエティ性の高さよ!非常に洗練されたデザインをもっている。
ところがこの怪獣はただ手がでかいだけで、背中をかゆいらしくビルにこすりつけてるだけである。
これが目から光線を出したりしない、全く魅力が感じられないつまり個性がないのだ。
映画の内容も、ミストや初代ゴジラのような魅力的で共感の持てたり狂気を感じたりするような登場人物が欠けている。
ミストにおける宗教ババアのキチガイさとほのかに感じる切なさや初代ゴジラにおける狂気と悲哀を感じる山根博士のような人間的に深く魅力的な人物はいない。
ただ一人、バカすぎて愛嬌がある空気の読めないカメラマンのデブがいるが彼は所詮笑い者のピエロ役でしかなくいっそ彼を主役にしておけば中々の共感が持てるようなダメ人間の成長映画としてもできたのではないだろうか。
映画の作劇としては主人公をダメ人間に描いているが、正直言って顔はイケメンだしみた所高い給料をもらっているようで全く興味が持てないし好感が抱けない。
正直な話、深夜にバカ騒ぎして人生を謳歌しているような高給取りのホワイトカラーで実にバブリーなヤッピーが一人、二人死のうが全くどうでもいいのである。
と、ここまで辛辣にこきおろしたが楽しめかなかったか?といわれると無茶苦茶楽しかったです。劇場でこの映像を観たときの迫力は本当にすごかったです。
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