[コメント] 三十九夜(1935/英)
90分足らずの尺に、ヒッチコック・エッセンスが凝縮。余計な説明を省いた場面転換の妙。劇場・列車・不貞・美女との逃走などおなじみのキーワードも満載。アメリカ時代の諸作の萌芽は、このころ、すでに完成していた。
ヒッチが、劇中、好んで劇場を使ったのは、日常の中での非日常性を満喫している人たちを、そんな非日常の世界に突然引き込むことが目的であるという。慌てふためく人たち、そこからサスペンスの芽を広げていく。
原作もあり、言っても詮無いことは承知で、一つ言いたいのは、やはり国家規模の陰謀にしたのは失敗だったと思う。後期の『フレンジー』のような、あくまで市井の犯罪を発端にした方が良かったのではないかな、とは思う。大風呂敷の広げ方も畳み方も、決して悪くはないし、それは所詮マクガフィンに過ぎないことは百も承知なのだが…。
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