[コメント] 丘を越えて(2008/日)
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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そう、これは池脇千鶴を観るための映画と思えばなにも文句はないのだ。下町生まれでテキ屋の親父に早世された彼女は、父の遺言で女ながらに立派な教育を受け、有名出版社に入社する。そして時代の寵児・菊池寛と朝鮮の貴公子のふたりに愛され、心を揺らす。朝鮮青年は憂国の志をもって池脇との別れを決意、ふたりは最後のダンスを踊る…こう書けば大したメロドラマだが、話のつくりはそうではないのだ。そして西田敏行はそんなふたりに呆れるほど寛容なのである。これでは話の盛り上がりようがない。そして時代が日中戦争に向かうとともに話はうやむやになり、みんなで『丘を越えて』を歌い踊っておしまい。何事だこれは。グダグダな幕引きは何事も解決することもなく、「おかをこ〜え〜て〜♪」でおしまいなのだ。菊池寛や文藝春秋は時代のただのスパイスか?
仕方がないので、池脇の尻切れロマンス映画と考えて諦めることにする。ほんとはそれにしても底が浅すぎてしょうがないのだけれどね。あらまっちゃんデベソの宙返り、って言葉だけ当時ふうにしてみてもどうもならないのだよ。
(付記)西島秀俊演じる馬海松が、児童文学者として戦後も活躍した人物であり、初代文藝春秋編集長であることを観終わってから知った。そのへんについては無知は罪だなぁ、と厳しく反省。
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