ジョン・レノンは実際の戦地で平和を訴えたわけではないが、彼はアメリカ国内という不寛容の戦場で戦っていた。実際の戦地のように、この戦場でも命を奪われる危険と隣り合わせであった。小難しいことやお堅いことを言っても伝わらないときにも、彼の"Give Peace A Chance"の歌声は多くの人に伝わり、多くの人が口ずさむ。ニューヨーク・タイムズの記者が苛立つのもわかるような気がする。

多くの人が感情レベルで心を動かし行動に移すときこそ扇動者の発言を一度は疑ってかからなければならないと私は思うが、ジョン・レノンとキング牧師は単なる扇動者ではなくもう少し深いところに達しているように思える。ジョン・レノンは「ビートルズを信じない」と歌ったが、私は「ジョン・レノンを信じない」とは言い切れない。