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[コメント] 百万円と苦虫女(2008/日)

乙女であってはいけない空気が流れているのが歯がゆい。
づん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







私にはこの苦虫女が苦虫女である所以が伝わってきませんでした。ちょっとした諍いから前科者になったとか、家族がギクシャクしているとか、そんな事だけで苦虫女になっていたら、世の中苦虫女だらけになってしまうんじゃないかな。まぁ前科を負うという事はちょっと特殊な事だけれども、本当にあんな事で前科を負わされるのか?っていう疑問もあります。そもそも天下の蒼井優が苦虫とかって世間の女に喧嘩売ってんのかと。・・・っていう僻みもあったりなんかしてるのかも知れませんけど。

それからそんな簡単に100万円貯まるんだったら誰も苦労しないよとか、いちいちこっちに突っ込ませる綻びみたいなものが所々にあるように感じてしまいました。

けれども森山未來が登場してから俄然面白くなるんですよねーこれが。私が女だからかも知れませんが、突如としてキュンキュンモードに切り替わり、光を湛えた画面のダカフェ的空気感とか、優ちゃん・森山君の持つ森ガール・草食男子的な雰囲気がイヤラシイくらいに乙女照準なんですよね。そしてそれにまんまとハマる私(ダカフェも森ガールも草食男子もそんなに好きではないけれど)。これ、度が過ぎると荻上直子の『めがね』になっちゃうんですけどね。上手い塩梅でバランスを保ってました。あのね、私ずーっと→(*´∀`*)こんな顔して見ていたよ。

でもラストの突き放し具合でハッと我に返るんです。中盤のキュンキュンモード以外の部分は案外ツンツンしているんですよね、この作品。必要以上にツンツンしてる。これは単に私が感じた事なんですけれども、この必要以上のツンツンっぷりは、女性監督によく見られるような気がするんです。オンナノコらしくないというか、乙女であってはいけない空気というか。私自身が頭花畑なもんでこう思うのかも知れませんが、なんだか女である事を自ら薄めつつ、左脳的展開にあえて持っていくというか…。でもその展開は女であるからこそ出来る展開だとも思うんですが…。なんていうんだろうなー。必要以上に女である事を隠すような風に見えるんです。世の中には男が作った男の映画はたっくさんあるのに、女が作った女の映画ってあんまりないような気がしてなんだか歯がゆい。

私は女が作った女の映画がいつか観たい!私が『七人の侍』を観た時に地団駄踏んだように、男が地団駄踏むような、そんな映画が観たい!中盤の雰囲気で1本映画作ってくんないかなーという期待を込めて、ここに書いてみた。無理か。無理か?そんなんじゃ男子地団駄踏まないか?

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09.12.01記(09.11.18DVD鑑賞)

(評価:★3)

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