テーマを描くのにゴッサムシティという架空の街が上手く利用された都合のいい作品である。相変わらずノーランはフィクションを盾に好き放題する嫌いがあるけども、やる事はちゃっかりやる抜け目の無さもある。

今回は、単純に言えば悪と正義の構図だけどもかなり深い哲学的な要素も含んでいるので大人でもふむふむとなる。でも一番スゴいのは、ヒロインを爆死させるなんて脚本をOKしたハリウッドの懐の大きさだ。これは唖然としたし、ある種のハリウッドの覚悟を見たよ。また、ジョーカーを演じたヒース・レジャーの怪演。最後の輝きを見た。R.I.P。

ラスト30分で急ぎすぎてお腹いっぱいの疲労感が出るが（これもノーランの癖。上映時間の配分をよくミスる）、エンドロール後の「こりゃすごいもんを観た」感は異常。ただ私、アメコミがあまり興味ないのでいくら現実的な話をだろうがあまりバッドマンってキャラを好きになれんのよね。ごめんなさい。