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[コメント] 闇の子供たち(2008/日)

アジアの地下組織から照らし出す無意識の加害者日本、という主題だけはとてもいいのに期待外れ。何も描けずに終わっている。江口妻夫木なんて定型描写はどうでもいいから、地下組織と佐藤浩市をこそ詳述してほしかった。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
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児童性的暴行など相当に露骨に描写して世界の顰蹙を買ったわりに、事件の構造を暴くノダと新聞記者が力んでいたわりに、その構造が何も晒されず、新聞記事でさくさく終わらせるのはいかんだろう。

本作はフィクションで人々を失望させたらしいが、事実以上の事実(構造)を提示できればフィクションでも構わない、むしろフィクションでこそ描くべきことだ。本作は構造解析を指向せず逃げてしまった。乱射事件起こして自壊する組織とは投げやりな収束だし、子供の移植手術希望した佐藤浩市がその後どうしたのか後始末がないのも弱い。

チット(プラパドン・スワンバーン)という悪漢がタイガーマスクの後テーマを口ずさんでいるのは何だったのだろうか。映画が彼に弁明の機会を与えないのも弱い。彼に襲われてさっと土下座する江口洋介、売春ツアーの日本人と一緒にされて耐えられんとこぼす件だけはいいのだけど。

江口対妻夫木聡とか、宮崎あおいの職場内葛藤とかの細部に時間使うのはもったいない。そんな時間があるならチットの組織と佐藤浩市を描いてほしかった。ただ、江口対宮崎はそれなりに説得的だった。新聞記者の職業倫理でしか物事に挑めない江口より、素手の宮崎のほうが偉いのだ。私的ベストショットは悪漢の金玉蹴飛ばす宮崎の回し蹴り。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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