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[コメント] 20世紀少年 第1章(2008/日)

あとから来る。
uyo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







堤幸彦監督とは、第一印象が悪かったのです。

ケイゾク/映画 Beautiful Dreamer』…なに「ビューティフルドリーマー」って?タイトルぱくってるじゃん!天本英世出演?風鈴が並んでる映像がある?…あのね……押井ファンをなめてる?

それ以来、彼と私の間には(一方的に)険悪な空気が流れていました。『TRICK』で、少し和らいだものの(面白かったから)、でも、不信感は残る。それが、この作品の監督に決定。バタリ。

公開後、ものすごい勢いの賛否両論。映画好きを自認しているサイドのほうに、評判が悪い感じ。日常生活で、映画に縁の薄い一般のお客さんは「おもしろ〜い」って言ってるかな。(いつになく世間の評判が気になる感じ。こちらのレビューに他意があるわけではないですので、どうかお許しくださいね。)

でもインタビューでの彼はなんか偉そう。でも同時に妙に面白そう。半目になりながら観に行く。

****

監督、すっごくよくやったと思う。まだまだ技術不足もあって、それは本人もよくわかっているとは思うけれど、ただ同時に、この作品をここまで撮れる技術を持った人は、この時代に他にはいない。そしてきっと彼はこの映画で成長する(漢になる)。そして、なによりも、彼は彼の持つ『紅い眼鏡』好き、という特性を生かして、最大限にこの映画を面白くした。

制作費60億?そんなことは関係ない。これはどメジャー級の実験映画だ!

もともとこの原作だって、名作でもなんでもなく、うさんくさ〜いマンガだったのです。四、五巻あたりから面白くなりつつも、「血の大晦日」も、それほど私的には盛り上がらず(だからこの映画は正確です)、「もうそろそろ買うのやめようかなあ?」なんて思っている頃、最初の「アレ」がわかった時、まず思ったのは「それ、誰だったっけ?」(このあたりも、この映画は結構うまいと思う)で、あわてて読み返して、はまりまくった。主人公が誰にも振り返られず、一人商店街でギターをひく姿に心つかまれた。

あとからくりかえし、くりかえし、波のように盛り上がってくる作品だと思う。

きっとこの映画を観た「コドモたち」(年齢のことではない)は、そのうちあちこちで、熱い心の中に、秘密基地を作り始め、のちのち何かの実を結ぶことでしょう。「あのマーク」が、見知らぬ彼らの間をつなぐでしょう。どんなに面白くても、映画館で終わる作品、「記憶」のなかにとどまる作品と、いつまでも「外」に広がっていく作品があると思うのだけど、これは後者だ。この世の中の、なにかを、変える。

ところでこの奥田誠治と言うプロデューサーは、面白そうな人ですね。

さて、この映画で神様が言っていた、「最初に投げたボールが、すこーし角度が違うだけで、まったく違う方向に飛んでいく」というくだり。この映画自体のことにも言えると思う。(本来は、三章にいたる登場人物たちの人生「もし、あの時…」の意味だと思うけれど)

第一章ではすこーしだけ原作と違っていた所。あとあと影響があるに違いないです。

だから、今回の「ともだち」はきっと・・・「彼」。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)映画っていいね[*] 青山実花[*] Pino☆[*]

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