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[コメント] 女と味噌汁(1968/日)

懐かしい懐かしい東芝日曜劇場。この軽やかな喜劇の元祖は五所ら松竹陣な訳で云わば先祖返り。池内淳子長山藍子の最強コンビは存外ヨロメキ系で魅力たっぷり、ライトバンの出店は先駆的。年配者で大入りの劇場で東芝三分割の年に鑑賞。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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喜劇だが辛い切り口がそこここにあるのが芳しいところ。冒頭の同窓会で池内が芸者していますと堂々と語るとき、好奇の眼差しを浴びる瞬間がそうだし、不倫旅行の迎えに川崎敬三ではなく妻の木村俊恵が現れて対決する件がそうだ。後者では池内は木村の云い分を裏返しして「亭主から金絞り取って、何が妻よ」とリベラルな主張を展開するのが素晴らしい。ふたりで歩む土建工事中で埃っぽい街路がえらく印象的だ。

腹違いの姉弟で医大生の田村正和と長山藍子が出来てしまって池内は田村の将来のためにならないと怒り、反省する。芸者の何が悪いと木村に抗弁したのに、因果のように木村の側に回ってしまっている。罰のように求婚者の北村和夫の姉の京塚昌子から、芸者は駄目と断られる。

ハードな人生を軽やかに進める池内と、甘ちゃんの長山のコンビが絶妙。ベストショットは宴席で長山の裸踊りの代役で池内が踊るドジョウ掬い。何度も繰り返される魔法のように旨い池内の味噌汁というネタは『カモメ食堂』が想起される。ライトバンで店構える方法は先駆的。

その他の登場は金持ちそうだが会社追い出されていた佐藤慶、下駄プレゼントする田中邦衛、保険営業で噂ばらまく市原悦子。舞台の弁天池新地は架空の地名。セットもずっと上等だがテレビドラマっぽく見える。意図的なのか撮影もテレビっぽくアップが多い。テーマ曲♪てんてんてんまり てんてまりの主題歌は西條八十、中山晋平の戦前の童謡。東京映画。

(評価:★5)

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