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[コメント] 落下の王国(2006/インド=米=英)

映画ってこんなに自由で楽しいことができるんだと再発見。「もう2時間たったの?」と思うほどどっぷりと、見ていることの快感に浸りきった。まるで、竜安寺の石庭を眺めていた時のようだった。
シーチキン

私は学生時代に京都の竜安寺の近くに下宿していたこともあって、竜安寺の石庭が好きで、年に何回かは出かけていって、ぼーっと石庭を眺めていた。

縁側に腰掛け、時々、左端に行ったり右端に行ったり真ん中に座ったりと位置を変えながら、ひたすら眺めていて、いつも大体1時間くらい、長い時は2時間以上眺めていたこともあった。

この映画は、そんな見ていること、それだけの快感を思い出させてくれた。もちろん、石庭の方はほとんど動きがないし、こちらは世界各地の絶景や見ていて飽きない建造物でロケをしてカラフルで、しかもそのロケにぴったり合った衣装を着けた役者が動いているのだが、間違いなく、スクリーンを見ていること、それ自体が快感だった。

特に冒頭のモノクロのシーンは傑作とも言える。背景とか事情とか何の説明がないにもかかわらず、どういうことが起こっているのかがわかる、という点も素晴らしいが、何よりも見ているものを一気に引き込む、その強烈な力と緊張感がずば抜けていた。映画史上屈指の導入部といってよいのではないだろうか。

だからストーリーの方は、それなりの工夫も楽しかったが、それがどうでもよくて、ただただ、スクリーンを眺めながら、「ええ眺めやなあ」と見とれつづけたひと時だった。

(評価:★5)

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