[コメント] 私は告白する(1953/米)
モンゴメリー・クリフトとアン・バクスターを初めとする俳優陣の好演と、斜めのアングルや影を強調した構図のロバート・バークスの美しいカメラが印象的。サスペンスというよりは不安と苦悩の人間ドラマとして秀逸。
ヒッチコック作品として、もっともダークで美しいフイルムだと思う。
偶然の多い設定や不自然で唐突な展開で、サスペンスとしては興を削がれるところもある脚本だが、緊張感を維持して90分を一気に見せる構成力はさすが。人間ドラマとしての表現に重心を置いたのは、ヒッチコックとしては異色だろう。
舞台をカナダのフランス語圏ケベックとし、元帰還兵のカトリック神父、議員夫妻、ドイツからの難民夫婦、といった設定からは社会派ドラマとしての側面も伺わせるが、ヒッチコックの演出ではそうした要素はあまり強調されていない。原作は50年前の戯曲ということらしいので、設定はただ当世風に焼き直しただけ、とも取れる。
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