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[コメント] ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ(2008/日)

CM出身の監督の映画にはナンダカナーというものが多い中で、これは稀に見る大好きな一作にして、日本ならではの作品になっていると思う。掛け値無しにかなり好きな作品です。
ロープブレーク

まず映像が好き。光の当て方、光量、構図、色彩を考慮した小物の配置。CM出身らしいこだわりだが、映画の絵に昇華できていると思う。例えば、イギリス映画はイギリス映画の絵というものができているが、これは新しい日本映画の絵になりうるくらいの個性と完成度にあると重う。寮内の取り方とかかなり好き。

次に、ストーリー。原作未読なのでどこまで脚本の力なのかわからないが、箱男とかの安部公房の小品を彷彿とさせるナンセンス具合がとても好みだ。

そして役者。市原隼人がかなりいい。この歳(当時)で相手の芝居の間をコントロールして自分の芝居ができるとは。まるで飯伏幸太vsヨシヒコの飯伏みたいだ(わかりにくい例えですみません)。だからといって、関めぐみが下手なわけじゃない。むしろ上手い方だ。そして浅利陽介の助演ぶりもいい。

強いて言えば、下宿屋のおかみの野波麻帆が若々しい美人なのは配役ミスだろう。もっと別系等の美人、例えば貫地谷しほりとか真木よう子だったらもっとよかったんじゃないかな。別に野波が悪いという訳ではないんだけど、学生が反応しない食堂のシーンには違和感がある。

最後、能登君作詞渡辺君作曲の「根性無し」は、イントロ含めてかなりよかった。

追(以下は個人的な思い出話ですので、お目汚しになるかもしれません).僕も、今となっては何十年も前の話ですが、高校の時、仲良かった友人が事故で突然死んじゃったんだよね。彼の人生って何だろう。俺の人生って何だろう。って初めて心の底から考えてもがいた。自分の場合、チェーンソー男と闘う美少女にはその時は会えなかったので、しばらく学校休んで家から出られず親に新潮文庫の100冊と岩波文庫100冊を買ってきてもらって読んで不条理から逃避した。チェーンソー男はいなかったけど、新潮文庫の100冊に箱男がいた。岩波にはコクトーがいて、今思えばそれが僕にとっての美少女だったのかも。この2冊を読んだあと久々に登校したんだっけ。200冊のほとんどは積ん読にしちゃったな。

(評価:★5)

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