飛行機を安全に、快適に飛ばすために、どれだけ多くの部署でどれだけたくさんの人たちが働いているか。

当たり前のことではあるが、それをそれぞれの場面を上手に切りとって、普通にまじめに働いている人たちの、喜び、充実感、やりがい、などなどを何のてらいもなく堂々と描いて、これだけほのぼのと笑えたり、じんとこさせたりする矢口史靖監督の手腕は、とてつもなくすごいんじゃないだろうか。

一人一人の登場人物にしっかりと目配せしながら、浅からず深からず、はしょるところははしょって、必要なことはきっちりとやった上でなおかつ、全体を一本の映画にまとめ上げる。たいした力量だと思う。

本作は、言ってみれば目新しいアイディアとかがあるわけでもない、きわめてオーソドックスな群像劇だが、そのオーソドックスなスタイルをほぼ完璧にこなすことができる、というのはやっぱりすごい。