人間というのは「実はこうみえても違うんです」と言いたい生き物なんだと思う。

三谷幸喜と小林聡美が『やっぱり猫が好き』が縁で結婚した時と、このオリジナル書いた鈴木おさむと大島美幸が一緒になった時の世間の好意的な受け入れられ方は一緒だったと思う。

外見じゃなくて中身(才能とかも)たっぷりの人間同士が一緒になった。

人間中身が大事だよ。

外見が美しい(才能がない)人間って詰まらないって、そう思わない？　でしょ？　でしょ？

そうさ、僕らは「世界でたった一つの花」なんだよ。　

一番じゃなくっていい、オンリーワンさ。

生まれたままの君がいいんだ。

・・・・。

この映画でもっとも差別されているのはブサイクをブサイクと言い放つ女だ。　主人公をブサイク呼ばわりして痴漢だと勘違いする女だ。　

その女は一体誰だか分からない俳優が演じているけどどう見てもブス。

これからも映画やテレビで売れっ子になってチヤホヤされそうもない見知らぬブス。

ブスブス言って申し訳ないけど、仕方ない。　この映画は外見じゃなくて「こころ」を見なくちゃいけないっていうからさ、「こころ」を投入されてないキャラは記号処理しちゃうよ。　ブサイクはブサイク、ブスはブス。　そういえば主人公のやっている定食屋の名前が「こころ屋」。　サッポロ・ビールのタイアップがウザイ店だけどね。

で、気付いたんだけど性格ブスとは言うけど、性格ブサイクとは言わないな。何でだろう？　鈴木おさむが思う女性の理想像ってこの作品から察するに自分を何があろうと全肯定してくれる性格美人の大島美幸とかわいくて性格美人の北川景子だ。

苦労して人前に出る職業をしている佐田真由美たちの内面は描かれない。　これだけどっぷりとタイアップをつけて、散々マスコミの職場の裏側を全面に押し出しているにもかかわらず、だ。　

ありのままの自分じゃ誰も認めてくれないから、本読んだり、良い絵画見たり、映画見たりする。　職場で苦労したり、恋愛で傷ついたり、泣いたり笑ったり人生は忙しいもんだ。　そんな自分を誰かに肯定して貰いたい。　俺の青春時代のヒット曲を一杯映画の中で流して見せつけてやりたい。　俺が好き、そんな俺が好き。　そんな俺を好きな嫁も大好き。

その欲望は達成されたけど、結果は虚しいよ。　青山のスーツじゃなくてありのままの自分だもん。　なんでかな？　青山全面タイアップなのに。　逆効果じゃなかろうか？

あと、この作品が孕んでいる問題に才能というのがある。　お笑いの能力とか映画自体が面白いか、どうか？という問題がある。

ブサイクで心が美しくても私を楽しませてくれなきゃその能力はゼロ。　外見が美しくて目の保養になってくれた佐田真由美はちゃんとその責務を果たしている。　この作品にはもったいないくらい美人を体現してくれた。　ありがとう。

私が芸能に求めるものに「性格の良さ」とかそんなものはない。　

生前のナンシー関が口を酸っぱくその問題を追及していた。　森三中は必ずしもデブの必要性はない。でも女がお笑いをやる上で容姿の良さというのはネックになるということが往々にある。ちょっとでも痩せようものなら露わになるかもしれない森三中の存在の危うさを差し引いているのって、ぶっちゃけ「体重」の過剰なんだと思う。

デブだけどブスだけど性格美人かもしれない。　でもそれが面白いの保証にはならないのはすべてに言えること。　この作品だってそう。　ブスでもデブでもブサイクでもなんでもいい、ぶっちゃけ面白くなきゃマズイ。　そのマズイってどうなの？　心が美しい人達！！

デーブ・スペクターがハンサムスーツに含まれている問題以上に問題。　あそこで笑わせてくれないと意味ないじゃん？