スティーブ・ブシェーミとヘイポーを足して２で割ったような人の、敵役としての魅力の欠如は痛い。それでもオルガ・キュリレンコの美貌と、「力技」とも言えそうなアクションシーンだけで、まあ十分と言えば十分。

「肉の盾」になった（した？）マティスとの死別のシーンも良かった。マティスの遺体をゴミのように扱うボンド。そこにはいわゆる「軽妙洒脱なスパイ映画」の残り香は無く、ギャング、ヴァイオレンス映画のよう。

ただ、テーマ曲をアメリカ人ばかりに任せるのはいいかげん終わりにしてほしい。今回の"Another Way To Die"はお世辞にも「名曲」と言えるものではないし、だいたいどういう経緯でジャック・ホワイトとアリシア・キーズなんて奇妙なデュエットが誕生したのか意味がわからない・・・、つまり何が言いたいかって言うと、ノエル・ギャラガーにやらせろってこと。Oasisの。本人もやりたがってるらしいし、世界的な知名度も『ダイ・アナザー・デイ』のマドンナ並みだろう。さすがに全盛期というわけではないが、ソングライティング能力はまだまだトップクラスだしね。