[コメント] ロルナの祈り(2008/仏=ベルギー=伊)
どのカットも何かの動作の途中から始まり、途中でまた次のカットへと移っていく。そしてカメラの視点は常にロルナと共にある。私が強く想起するのはやはりドワイヨンだ。必然的にロルナが「行動」し続けるところを映画は描くわけで、アクションは充分にある。
また、赤、青、黄、緑といった原色を衣装や小道具に配し、その発色の良さから各カットとも照明に気を使っている事も分かるだろう。駅で恋人と会う場面では路面を濡らし、車に水滴を吹き付けている。始めからダルデンヌ兄弟は「映画」を目指して制作しているわけで、「ドキュメンタリー・タッチ」という批判は無効だと思われる。
しかし、ラストカットで音楽を流すのは私も甘すぎると感じた。それならば想像上の赤ん坊を実際に画面に登場させ(ドワイヨンの『ポネット』で死んだ母親がさりげなくフレームインしてくる瞬間の、あの慎ましい優しさを思い出そう)でもして終わる方がよほど映画的に面白いと思う。
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