[コメント] ジェネラル・ルージュの凱旋(2009/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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いつものメンバーはともかく、今回は堺雅人さんの一人勝ちですね。臭いエンディングも何もかも、彼の演技と彼を支える羽田美智子のオーラで全てが補われているといえるでしょう。
この監督の見事さは、かつて脚本をたくさん書いている点ですね。多くの監督が良い脚本を書いています。黒澤明にせよ大島渚にせよ、いずれも良い脚本をたくさん書いています。
そしてこの監督は実践で、自らの映画を自ら脚色し見事な演出をしました。
今回の見所は倫理委員会に呼び出された速水医師(堺雅人)を中心とするカメラワークでしょうね。このシーンがこの映画で最も緊張感の高い感動を呼ぶシーンですね。脚本でここまで映像をイメージしていたかは疑問ですが、映画として十分成り立つ素晴らしいシーンだったと思いますね。
そして”ルージュ”の意味。
これは原作の力ですね。
原作者は医者でありサスペンスを書く小説家であり、そしてなおかつ詩人でもありますね。だから、この映画の”ルージュ”の意味が浮きだって描かれます。これは原作の力ですよね。
最後に真っ赤な赤いバラを手にする看護師長(羽田美智子)の手を差し置いて、その手を握る速水医師。この臭い演出はなかなかできませんね。
大災害で病院全体を救急体制にして仕切る姿勢は、感動しました。
現実の問題として、今、救急体制は崩壊しています。たらいまわしにされる患者の数は多い。
しかし、佐藤医師(山本太郎)が死に掛けた患者を見過ごす意思も必要なんですね。
現実というものを知る意味でも、深い内容だったと思います。
竹内結子さんが最後に堺雅人さんに、チュッパチャプスで詰め寄るシーンも素敵ですね。このシーンの竹内さんの笑顔は最高です。
甘いかもしれませんが、大感動してしまいました。
『チーム・バチスタの栄光』では、この監督のことをかなり手厳しく評価しましたが、今回は原作の見事さも含めて最高得点としました。
2009/10/25
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