この映画が描こうとしているのは美しいプロットではない、まして謎解きなどではない。虚飾に満ちたTVショウは、フラッシュバックとして語られる過去と眩いほどの対比をなして、胸をえぐるような現実を鮮やかに照らし出す。

あの雨の中、出会った幼い３人を飲み込んだ現実の苛烈。ただ生きるための選択。そしてその結末。快適な映画館でこの映画を観た人の中でいったいどれほどの人がこの現実の毒を原液のまま飲み干すことができるだろうか？ボイルが飲みやすくカクテルにしてくれたおかげで僕は差し出された一杯を震える手で飲み込んだ。

そして、この作品にオスカーを与えたアカデミーを僕は少しだけ見直したんだ。