[コメント] スラムドッグ$ミリオネア(2008/英)
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何故ラティカとジャマールがここまで惹かれ合うのかが分からない。 その描写が弱い。 この映画の、ジャマールの行動の源泉に当たるものだが、ストーリーが進めば進むほど???となっていった。
そしてそれ以上に意味不明なのが兄貴の行動。 何故最後に兄貴が手助けしたのかが分からない。 ジャマールと同じ境遇で育ち、しかしジャマール以上に悪の道に染まっていく。 金のために、生き抜くために悪を重ねる。 それはある意味仕方のことなのかもしれない。 そうしなければ生きていけないのだから。 しかし、悪の道に染まるなら、最後まで貫き通して欲しかった。 ジャマールがラティカに対して本気だから、手助けした? そんなことをしたら、悪ボスからの報復は必至なのに? ここが意味不明だ。そんなわけないだろ?と強く思う。 弟の色恋話ごときで今までしぶとく生きてきた自分の人生を棒に振るか?
…と、ここまで書いてきたがそれ以上に言いたいのが、前半の重さ。 前半が重すぎた。 のっけからの拷問シーンは強い暴力性があり不快だったし、なにより陰惨だったのが目潰しのシーン。 これがエグ過ぎた。インドだったら、本当に今この瞬間も実際にやってそうだもん。 これで自分の中でのスラムドッグ$ミリオネアが決まってしまった。 このシーンを良くも悪くも越えるシーンは出てこないだろう。
ストーリーが好転していっても、自分はずっと不幸の魔の手を感じていた。 クイズが進めば進むほど、その不安は大きくなっていく。 いつかどんでん返しで悪いことが起こるか、不安しかなかった。 ジャマールが全問正解しても、ラティカと抱き合えても、ハッピーエンドだとは思えなかった。 エンドロールが流れ終わった後に、悪い奴らに捕まって目潰しされるんじゃないか、不安だった。 ハッピーエンドなはずなのに、こんなに不安なハッピーエンドは初めてかもしれない。 だから映画が終わった後に自分は首をひねったのだ。本当に?
偶然出演したミリオネアで、不幸しかない人生を反映してクイズを当て続けること自体、自分にとっては幸せなことだとは思えない。 不幸であることが幸せ、つまりクイズの正解と表裏一体だとは思えない。 ここに強い違和感を感じるのだ。 全てが辛い過去を回想させているじゃないか。 それなら序盤で不正解で落伍した方が、何も過去を思い返す必要がなくて済むんじゃないか、そう自分は思った。
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