[コメント] スラムドッグ$ミリオネア(2008/英)
大音量のBGMとやたらと繰り出される斜め構図のアップカットを駆使することが「スタイリッシュ」だとでも思っているのだろうか?と悪態の一つもつきたくなるようなボイル流映像スタイルは、如何にも安易に思えて好きになれないが、
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
まあ、それは好みの問題だし、「ボンベイ」から「ムンバイ」へ、「発展途上国」から「新興国」へとドラスティックに変わり行く社会と、インドでしかあり得ないだろうと思える強烈なモブ・シーンのダイナミズムにマッチしているといえばその通りなので、それはそれでよいのだろう。
既にご指摘のある通り、予定調和・ご都合主義な面や、クイズ番組の進行を交錯させる筋立てがあまり効果を生んでいないというのも同感だが、それよりも寧ろ、スラムドッグの少年少女たちの過酷な生い立ちを絡めた大河ドラマ仕立てのプロットであるにも拘らず、そこから生まれる情感を発揮することに失敗している、というか無頓着としか思えないことのほうが気に入らない。青年ジャマールの善人面には苛烈な少年時代を生き抜いてきた痕跡が刻まれていないし、サリーム兄貴のキャラクタ設定も類型的で深みがなく、「人物を造形する」ことに対する御座なりさがその一因なんじゃないかと思う。
と、個人的には不満が残る出来に感じたのだけれど、エンドクレジットでのダンスシーンを眺めていてその不満も少々癒された。つまりは、あのダンスに象徴されるような愛すべき大らかさこそが、この映画の本質なのだ、と。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (8 人) | [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。