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[コメント] 子供の情景(2007/イラン)

粗削りだが見る者を放さない、まるで若いハナ・マフマルバフの一本気な熱意が、そのまま乗り移ったような一途な映画(=少女)だ。少女バクタイは悔し涙を目にたたえることはあっても、決して大声で泣き叫び救いを求めたりはしない。他の子供たちだってそうだ。
ぽんしゅう

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







大声で泣けば、誰かが救いの手をさしのべてくれる社会など、実は柔で甘い社会なのだということに私たちは気づくはずだ。強固な壁に四方を閉ざされたような社会に、偶然にも生まれてしまった彼女(彼)たちが直面する理不尽な抑圧とは、泣けば済む問題ではないのだ。

子供たちは、束の間の自由を手にするために、救いを請い泣き叫ぶのではなく、幼い思考を目いっぱい働かせたうえで、かりそめの死を選択してみせるという、なんとも敗北的な方法をすら自らに強要する。救いのない悲しい思考だ。

しかし、どんな手段を選んででも、女の子たちが学ぶことへの熱意を捨てないことが、いつの日か戦闘ごっこに魂を奪われた男の子たちに対抗するためにも、イスラム社会での最も確かな手段であり希望でもあるのだ。この映画は、そんな19歳の映画作家ハナ・マフマルバフの決意で結ばれている。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)づん[*]

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