[コメント] 無法松の一生(1958/日)
三船の滅法オトコの可愛さに溢れた演技は感涙ものだし、彼を憎からず思いつつも頑なに心の鍵を閉ざす高峰にも感服した。だが、戦前のテクニックで彩られたこの作品は、やはり旧作の亡霊としてしか観られないだろう。
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人力車の回転が繋ぐ時間の流れ。水面の乱れのごとき効果で表現される懐旧シーン、そして最期をむかえた三船の眼前に甦るネガ・フィルムとアニメーションによる幻影。みなこれらはすでに20世紀後半のテクニックではなかったがゆえに、「詩情」よりは創られたセンチメンタリズムの煽りのように映る。期待が大きすぎたのかもしれないが、無法松の行動・言動の痛快さは演出されつくした「詩情」に相殺され、どうにもじめじめした作品との印象を残した。旧作を知らない自分ではあるが、もう自分としては三船版だけで充分である。
ちょっと良かった箇所としては、出演場面は少ないものの婆さん役の飯田蝶子が伝法でなんともいい演技だった。近頃こういうイキのいい老人を演じる女優はめっきり見なくなったように感ずるだけに。
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