[コメント] インスタント沼(2009/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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今回の三木聡は妙に映画映画している。
冒頭の8ミリっぽい画角とエフェクトは大林宣彦風。水道の蛇口を全開にして街中を疾走するのはやっぱりゴダール。ラストでは主人公が高所作業車に乗って上昇しながら独白を吐き、カメラがクレーンで追っかけてヌケの良い所でFin. こりゃフェリーニじゃないか。
他にも、実家の居間から居間へと回帰する循環形式をとってみたり、併走する2台の自転車の前後関係で「ドン引き」を表現してみたり。なんだか変に演出らしい演出が目につく。しまいには龍&河童(水神様)によるカタルシス(浄化)と来た。どうした三木聡、映画監督にでもなるつもりか? なんつって。
いや、別にそれらが不快とかそんなんじゃなくて、むしろ個人的には好ましくてニヤニヤしちゃう類のものだったのだけれども。ちょっと意外だったのは確か。
ちなみに主人公ハナメの人生はジリ貧、なんてモノローグが入ってるけど騙されちゃいけない。休刊の憂き目にあったとは言えファッション誌の編集長まかされてた位なんだし、ちょっと骨董屋開いたらあっさりはなちゃんや石井聰亙にセンス認められちゃうんだから。ハナメはやればできる子だよっ。(なんの話だ)
閑話休題。思えば『亀は意外と速く泳ぐ』は上野樹里を主演に据えつつも「劇団☆三木聡」の色が強かったし、『図鑑に載ってない虫』は小ネタこそが主役だし、『転々』はオダギリジョーじゃなくて三浦友和の映画だった。対して本作はあくまで主人公の沈丁花ハナメ=麻生久美子がどーしたこーした、の映画だ。だからやっぱり三木聡は「麻生久美子の魅力満載な映画」が撮りたかったんじゃないかと思うし、それは結構成功していると思うのだ。
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