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[コメント] MW -ムウ-(2009/日)

玉木 宏の「意外な」好演で、感想は「勿体ない」。☆3.2点。
死ぬまでシネマ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







漫画と映画は違う。しかしこの漫画を映画化する時に絶対に外せない要素は、(1).同性愛である。(2).肉体的に同性愛である。(3).結城は性別(MW)を超えた存在である。(4).結城と賀来が見た地獄はちょっとやそっとでは決して払拭出来ない生き地獄である。…まぁこの辺りを押えてさえいれば多少の改変は許されよう。

俺が賀来を神父として残すなら、神父職を徹底的にリサーチする。どうしたら神父になれるのか、神父になる過程で賀来は何に苦しみ、何に救いを得たか。聖書や関係書からMWの物語と結びつく要素を探し出す。

詰まり、漫画では「漫画的ではない」「漫画では必要ない」と排除された要素を取り戻し、生身の人間としての賀来を模索するのだ。そこからでないと彼に生命(この作品で言えば苦悩)を吹き込めないだろう。その点で汀玲司さんの意見に禿同である。(そんな事やってるとモロ蛇足になる危険もある訳だが…)

石橋 凌は好きな役者である。前半石橋がもう頑張る頑張る。嬉し〜な〜と思いながら、同時に「ここ、絶対こんなにひっぱる場面じゃないよな…」と思わせる演出って、罪ではありませんか?

TOBBYさんの石田ゆり評に禿同である。惜しむらくは、銃弾に斃れる時は肩越しに凄まじい形相で結城(玉木)を睨みつけ乍ら絶命して欲しかった。

「世界を変えるのは、/破壊か。/祈りか。」というのが映画のコピーだが、NHK土曜ドラマ「リミット/刑事の現場2」のコピー、「憎しみによる「厳罰」か。/優しさによる「救済」か。」を思い出した。本映画の玉木と山田の2人はインタビューにこう答えている。()「結城=モンスターという意識はない。"結城にとっての正義"を貫いているだけ」、()「モンスターと決めつける人こそモンスターだと思う」 あのな…、どんだけ役に没入しているか知らんが、結城がモンスターでなくて何なんだ。だから人間は恐ろしい存在なんだろう? 「リミット」での武田鉄矢の台詞、「こいつは憎くもない、弱い人を選んで刺し殺した。何故そんな事が出来たか? それはこいつが人間じゃないからだ!」の方に強く賛同する。全く、手塚世代との倫理観のギャップが激しすぎるYo…。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)ダリア[*] Aさの 水那岐[*]

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