審判の日以降の話なら、個人的なクライマックスはカイル・リースをジョン・コナーが過去へ転送するシーンになる、というか、大方のファンの方はそうなるんじゃなかろうか（そうでもないのか？）ジョンにとって子供のような存在を、自らの父として、しかも死ぬことを知りながら過去に送り込むという過程、どうやって絆を結んでいくのか、どんな心の動き、葛藤があったのか、という、どうしたってドラマティックになるキモは今回は外されている。或いは、今回についても、「いずれ殺すために守る」という倒錯がないわけではなく、複雑な心情描写があって然るべきなのだが、これがない。要するにエモくない。ジョンはただのエゴイストではないか。何というか、既に知られた結末を描く『ローグワン』的なエモさを期待したのだが、肩透かしだった。エモくないアクションではわたしはイケないのである。我慢しろということなのか、この監督では扱えなかったということなのか。演出の微妙さを鑑みるに、恐らく後者だろう。

焦点は第2作のT-800がなぜ人間性を持ったのか、或いはジョンが何故T-800を信頼して第2作で彼を改造して送り込んだのか、つまり、マシーンの可能性をジョンが理解するという伏線的な説明になっている。カイルの件は出会いのみで、また今度ということなのかもしれないが、これがまた弱い。第2作など、垢抜けないレベルで時間を割き紐が結ばれていく過程が描かれるのだが、これがやはり良かったのだと確認されるレベルで淡白。T2が改めて観たくなった。

あと、個人的に納得いかないのはジョンの強靭さ。第1作のカイルなんて、一発殴られただけで体ボロボロですよ。鋼のゾンビに対する生身の人体の弱さ脆さ儚さの対比、そこを補って余りある人間性っていうのが、この題材の熱さじゃなかったのか。

とにかく色々残念。T2の正統続編とやらが公開されるようで、また審判の日の前に逆戻りですが、いつかわたしの観たいターミネーターは製作されるのでしょうか。

（前述の続編は脚本と製作にジェームズ・キャメロンが当たっているので、観たいとは思いますけどね。ハミルトン推しでジムらしい女性映画になりそうなのもあってちょっと楽しみ。）