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[コメント] 愛を読むひと(2008/米=独)

恋愛感情と母性本能と。
青山実花

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







成長した少年レイフ・ファインズと年を重ねたケイト・ウィンスレットが刑務所で初めて再会する場面。そこで自然に涙が出た。「大きくなったわね」という彼女の言葉。これは普通、かつて恋愛関係にあった相手にかける言葉ではない。しかし、他人からは理解されずとも、彼らの関係から考えれば、彼女の言葉は当たり前であり、ごく自然に口をついて出た、心からの感想であろう。

私がここで涙が出た理由を説明するのが、ちょっと難しい。昔愛した恋人と再会できた喜びと同時に、母性本能を刺激されたような、そんな感情に駆られたのだ。生き別れになった息子に数十年ぶりに会えたような、「立派になって・・・」と感慨無量の面持ちでその瞬間を迎えたような、そんな気持ち・・・。

彼に本を読んでもらうのが大好きだった彼女と、それを忘れなかった彼。なんて切ない物語。彼らが肉体的に関係を持つ場面が唐突だったり、突然喧嘩を始めたりと、やや甘さもあるが、私はこの切なさを買いたいのである。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)IN4MATION[*] 牛乳瓶 けにろん[*]

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