[コメント] 白い野獣(1950/日)
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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当時よくある更生施設ものだが、女の不幸を延々撮り続けたナルセが梅毒更生を撮るとはひとつ究極であり、自らの作品群に示しをつけたの感がある(ミゾグチでは『夜の女たち』に該当するだろう)。
まるでガルボのようにベッドに寝転び山村聰を誘う三浦光子の性。突然狂った岡田英次の浴びせる「バイタ」に「云うと思っていたわ」と嘆く中北千枝子。自分を想って死んだ兵隊を誇りに思いブリキを勲章と思い込む元慰安婦の北林(パンパンと一緒にしないでおくれ)。いずれの逸話も女の不幸の果てを描いて究極であり、作業大好きな木匠くみ子の真面目さが好対照で印象に残る。彼女の出産まで面倒を見る施設などあったのだろうか知らないのだが、本作はそこまでするのが社会の責任だと主張している。
ただ、梅毒が道徳を保障するような三浦の発病と悔悛は微妙な印象がある。伊福部の音楽は非ナルセ的だが主題には合っているだろう。煽情的なタイトルは映画の真面目さを裏切っており、もう少しなんとかならなかったのだろうか。階段の欄干を指でなぞる三浦や、レコード聴いて思わずステップ踏んでいる出雲八重子など、細かい処がナルセっぽくていいい。私的ベストショットは三浦と北林の喧嘩における千石の飛ばすやっちまえなる罵声。
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