けれど、胸に迫るという意味のリアルは感じなかった。上手い、面白いとは言えてもどこか醒めた目で見てしまう。肝腎なところで登場人物の行動原理が腑に落ちないからだ。仮想空間の在り方を含めて設定上のフィクションは問題ないけれど、その土台の上に建てられたものが「作り物」っぽいとどうにも気になってしまう。しかし、きっとそれもねらってやっているのでしょうね。つまり誰に向かって発信されたメッセージなのか、ということ。本作では「あんたはいっつも○○ばっかり！！」てな小言ばかりもらってそうな人たちを一切誹謗しない、徹頭徹尾気持ちよくさせる舞台設定となっている。それでこそ、届けられるメッセージがあるのでしょう。

実はうちも田舎の大家族、夏にはあんな感じで集まるんです。大宴会に初めて参加した嫁さん、驚いてたなあ。