[コメント] いまを生きる(1989/米)
おそらく15〜20年ずつ間を空けての三度目の鑑賞。前回30歳くらいの頃に観た際には登場人物の意気地のなさに腹を立てたものだが、この歳になると弱者なりのプロテストの在り方を一周回って理解できるようにはなる。
ロバート・ショーン・レナードは、優等生を脱し切れない線の細さとナイーヴさを孕んでいて出色と思う。
一方で、親や校長など体制側の描き方は表層的。彼らにも拠って立つ思想信条や背景があるはずで、その部分への目配りを怠っているが故に対立構図に深みが出ない。深夜に異変を感じた父親が事態を発見するあの件りが、この映画で最も迫真の場面だが、その後の展開から父親は退いてしまうあたりが自分には物足りなく思える。
ロビン・ウィリアムズは大してよいとは思わないのだが、マーロン・ブランドやジョン・ウェインのモノマネ芸は面白い。
イーサン・ホークの陰キャぶりも悪くないが、序盤に彼の抱えているコンプレックスがうまく演出できていないのが残念。それがあれば、終盤の言動にももっと深い感動が生まれたと思う。
往時の全寮制私立学校の雰囲気を甦らせるロケーションと美術装丁が素晴らしい。印象的なのは、鳥の大群を捉える景観ショット、自作ラジオでの息抜きなど。
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